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第43回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンス発表要旨付プログラム
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1月26日(火)
9:30~12:00 セッションA1 エネルギーモデル(1)国内シナリオ分析 会場:A(An301・302)
A1-1 多部門エネルギー経済モデルによる燃料輸入制約下のエネルギー需給・産業活動への影響分析
○乾 颯太(東京大学)
日本への燃料輸入制約がエネルギー需給と産業活動に及ぼす影響を分析する。産業間取引とエネルギー技術を統合した多部門エネルギー経済モデルを基礎に、設備制約と時間別電力需給を考慮した1年間の静学モデルを構築する。原油を中心に燃料輸入量へ上限制約を与え、燃料の部門間配分、電源構成、部門別生産、最終需要および輸出の変化を定量的に評価し、供給制約の波及経路と国内の需給調整を明らかにする。
A1-2 日本のカーボンニュートラル実現に向けたバイオ液体燃料導入のシナリオ分析
○小澤 暁人,工藤 祐揮(産業技術総合研究所)
カーボンニュートラルの実現には、産業・運輸などの排出削減が困難な部門における、燃料利用に伴うCO2排出削減が重要である。本研究では、資源制約や他技術との代替関係を考慮し、日本の長期的なエネルギー転換におけるバイオ液体燃料の役割を分析した。産総研が開発するエネルギーモデルを用いて、日本のエネルギーシステム全体の最適化に基づき、エネルギー需給と技術導入の推移を評価した。
A1-3 GCAMを用いた日本の2050年ネットゼロ・エネルギー転換経路の構築
○高瀬 香絵,西田 裕子,木村 誠一郎,後藤 恵陸,長谷 しほり(自然エネルギー財団)
統合評価モデルGCAMを用い、日本の2050年ネットゼロに向けたエネルギー転換経路を構築する。再生可能エネルギーの拡大、電化、水素、省エネルギー、化石燃料、CCS・負の排出の役割を定量的に分析し、部門別のエネルギー需給とCO2排出削減の経路を示す。
A1-4 Book & Claimによる環境価値取引が国内SAF供給に与える影響の最適化分析
○辻村 一平,仮屋 夏樹(みずほ銀行)
本研究では、Book & ClaimによるSAFの環境価値取引基盤が仮に導入された場合に、国内のSAF供給効率化や国産SAFの供給量にどの程度寄与しうるかを分析すべく、空港需要推計値や輸送・設備の制約を組み込んだ混合整数最適化モデルの構築を行う。これにより制度や市場の諸条件に応じた国内各地域でのSAFおよびその環境価値の流通の姿を試算・議論する。
A1-5 発電部門の詳細化が脱炭素政策のマクロ経済評価に与える影響
−日本を対象としたCGEモデルと電源構成モデルの統合−
○森本 壮一(日本エネルギー経済研究所)
変動性再生可能エネルギーの大量導入を伴う深い脱炭素化を前提とした分析では、発電部門の時間的詳細化が電力システムの評価において重要となるが、その詳細化がマクロ経済評価に与える影響は十分に明らかにされていない。本研究は、日本を対象とした静学的CGEモデルと電源構成モデルを用い、異なる排出制約の下、発電部門の時間的詳細化と両モデルの統合による一般均衡フィードバックがマクロ経済評価に与える影響を分析する。
A1-6 炭素価格政策と容量メカニズムの相互作用分析に向けた電力市場シミュレーションモデルの拡張
○髙橋 颯太,Benjamin McLellan(京都大学)
北海道エリアを対象に、システムダイナミクスと電源起動停止最適化を結合した電源構成シミュレーションモデルを、原子力・水力・CCS付き火力等を含む多電源構成へ拡張した。本モデルを用いて、炭素価格政策と容量市場の組合せが長期的な電源構成およびCO2排出量に与える影響を分析し、両制度の相互作用が脱炭素化に及ぼす効果について考察する。
A1-7 世界エネルギーモデルと国内電力需給モデルの連携による日本の将来電源構成と地域配置の分析
○安藤 輝尚,佐野 史典,本間 隆嗣,秋元 圭吾(地球環境産業技術研究機構)
筆者らはこれまで、世界エネルギー・温暖化対策評価モデルDNE21+を用いて、様々な将来シナリオを分析してきた。一方、世界モデルでは国内の詳細な送電制約等の表現は困難である。本研究では、基幹送電網および発電設備情報を更新した国内電力需給モデルを構築し、DNE21+とのソフトリンクにより、世界全体のエネルギー需給との整合性を保ちつつ、日本の電源の地域配置および運用を分析する。
9:30~12:00 セッションB1 地域・自治体 会場:B(An401・402)
B1-1 茨城県の水素エネルギーインフラに関する現状分析
〜水素エネルギーとエネルギーナショナリズムのケーススタディ〜
○有野 夢叶(茨城大学)
茨城県に関する水素エネルギーインフラは、水素ステーションが一ヶ所しかないなど、水素エネルギーインフラが脆弱である。今後水素エネルギーが、既存の化石燃料の代替として期待されている中で、今後茨城県においてどう代替されていくか、インタビュー調査や文献調査等の手法を通じて考察する。
B1-2 広域自治体を対象としたライフスタイル分野の脱炭素施策導入可能性評価モデルの構築
○池田 耕介,岸本 一将,奥本 正風(建設技術研究所)
地方自治体の脱炭素計画では温室効果ガス排出量の将来推計が行われているが、国全体の削減量の按分が一般的で、地域特性を踏まえた施策の導入可能性は十分考慮されていない。本研究では、広域自治体を対象にライフスタイル分野(家庭・運輸)の脱炭素施策導入可能性評価モデルを構築した。物理的・社会的制約を考慮した施策導入量の推計を通じ、地域において実現可能な脱炭素施策の導入水準及び地域脱炭素への寄与を明らかにする。
B1-3 発電地域との共生を促進する再生可能エネルギー電力調達に関する研究
−都市部自治体アンケート調査と地域共生認証制度の検討−
○重 浩一郎(八戸工業高等専門学校),坂巻 隆史(東北大学)
再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、発電地域との共生が重要な課題となっている。本研究では、都市部自治体を対象としたアンケート調査を実施し、発電地域との共生に配慮した再生可能エネルギー電力調達に対する認識と意向を分析する。さらに、既存の評価・認証に関する取組の比較検討を通じて、需要側の電力調達に資する地域共生認証制度等のあり方を検討し、発電地域との共生促進の方向性について考察する。
B1-4 気候市民会議から持続可能な地域づくりへ−しずおか気候市民会議の実践と展開−
○中井 梨紗子(中井俊裕カーボンニュートラルラボ)
気候変動を身近な地域の課題として捉え、市民が主体的に対策を考える場として「しずおか気候市民会議」を開催した。参加者は専門家等から情報提供を受け、静岡の地域特性や暮らしとの関わりについて対話を重ねた。その結果、環境に良いことをしなくてはならないという潜在的な意識が、対話を通じて言語化され、参加者間で共有される過程がみられた。本発表では、地域に根ざした市民対話の実践と意識形成の特徴を報告する。
B1-5 脱炭素政策はいかに地域変革につながるか
−アジア太平洋147事例と日本の脱炭素先行地域99地域からみるシナジーの実装条件−
○藤野 純一,小野田 真二,天沼 伸恵,ヘイチク パベル,ザスマン エリック(地球環境戦略研究機関)
脱炭素政策が温室効果ガス削減にとどまらず、地域経済、雇用、健康、防災、自然環境等の地域課題の同時解決につながる条件を検討する。これまでの低炭素社会・地域脱炭素・SDGsシナジー研究を踏まえ、アジア太平洋147事例と日本の脱炭素先行地域99地域を参照し、政策統合、主体間連携、資金、実施体制、学習・制度化の観点から、地域変革につながる実装条件を考察する。
B1-6 日本における気候危機対策−2026年時点の具体策・続報
○外岡 豊(埼玉大学)
大幅な排出削減を具現化しなければ気候危機はさらに深刻化する。それ以前に少子化を防ぎ人口を維持し、喫緊の課題に適切な対応ができる柔軟な社会を取り戻すこと等、総合的に日本社会を維持することが先決である。また気候危機対策を国家の最優先政策として具現化しないと増々被害が増大する。洪水、大地震、津波、火山爆発等の同時被災を前提に気候危機対策を考える。大幅な削減が期待できる排出削減対策について、その具体策を提示する。
B1-7 人口動態を基にした民生用エネルギー需要と社会資本形成
−人口減少局面における漸減対応型社会資本形成−
○武田 晃成(日本エネルギー経済研究所)
世界に先駆けて日本が直面する人口減少局面では、民生用エネルギー需要が、総量だけでなく、密度、場所及び用途が変化する。一方、GX、エネルギー安全保障、産業競争力の確保に向けた投資は継続的に必要である。本研究は、需要の長期的な漸減を前提に、既存社会資本を活用し、更新・集約・転換等を時間軸に沿って計画する「漸減対応型社会資本形成」の考え方を整理し、人口減少局面における社会資本形成の在り方を示す。
9:30~12:00 セッションC1 再エネ-EV連携 会場:C(As311・312)
C1-1 Spatial Heterogeneity in Rooftop PV‒EV Techno-Economic Performance Across Indonesian Cities and Regencies
○Nike Diah Agustin,Kobashi Takuro(Tohoku Univerisity)
This study extends a nationwide provincial assessment of rooftop photovoltaic (PV) and electric-vehicle (EV) integration to the city and regency level across Indonesia. A consistent techno-economic framework is applied to quantify rooftop PV potential, energy performance, economic viability, and CO₂ reduction under alternative PV–EV and electricity-export scenarios. The analysis focuses on intra-provincial heterogeneity and examines how rooftop availability, electricity demand, population density, economic conditions, and vehicle ownership shape local outcomes. The study aims to identify municipality-level PV–EV archetypes and differentiated deployment pathways for low-carbon urban and regional energy planning in Indonesia
C1-2 Understanding the socio-technical transition toward PV-EV integration:A review of implementation barriers and actor engagement
○TAO LINWEI,Kobashi Takuro(Tohoku Univerisity),Yarime Masaru(The Hong Kong University of Science and Technology)
This study systematically reviews 163 studies on PV-EV integration from a socio-technical perspective, mapping a diversity of implementation barriers and actor roles across the primary coupling modes. The findings show that regulatory barriers remain prominent, while deeper technical coupling introduces additional challenges related to interoperability, authority allocation, and benefit distribution. The study highlights the importance of multi-actor coordination and interest alignment in overcoming implementation barriers and supporting the large-scale deployment of PV-EV integration.
C1-3 経済インセンティブを考慮した住宅における分散型エネルギー資源と電気自動車充電の運用最適化
○沈 辰旸,安芸 裕久(筑波大学)
V2H・V2Gを統合した需要家エネルギーシステムを対象に、行動経済学に基づくEVユーザーへのインセンティブが充放電戦略に与える影響を分析する。EV充電量、市場価格、需要家負荷等の実データを用い、電力市場・需給調整市場での取引収益、電力購入費用、充放電に伴うユーザー不満度を定量的に評価し、インセンティブ効果と充放電戦略変容の要因を明らかにする。
C1-4 内モンゴル農村部における風力・太陽光ハイブリッド発電充電スタンドの配置に関する研究
○BATUJIRIGALA,古林 敬顕(秋田大学)
脱炭素化に向け、内モンゴル農村部の風光資源を活用するEV充電スタンドの最適設計を検討する。気候の異なる複数地域を比較し、蓄電池上限を外した独立型の解析では、昼夜の時間的ミスマッチがコスト高騰を招くと判明した。これを踏まえ、電力価格や系統制約を考慮した系統連系型へ移行し、スマート充電による再エネ利用率の向上効果と、実面積に基づく空間配置の実現可能性を明らかにする。
C1-5 風力および太陽光発電の大量連系における電気自動車充電の活用,出力抑制の緩和効果に関する一考察,九州エリアに関する試算
○竹濱 朝美(立命館大学),歌川 学(産業技術総合研究所)
風力/太陽光を大量連系する場合、出力抑制の緩和対策として、九州エリアを事例に、電気自動車(EV)充電による余剰電力吸収可能量を概算した。2035年の通勤乗用車(EV)の普及率が55%で、通勤用EVの60%が、昼間充電する場合(High Case)と、EV普及率5%とするBase Caseを比較した。九州では、PV時間別出力曲線に合致させたEV昼間充電ケースは、出力抑制緩和効果が大きい。ただし風力発電導入量を拡大させると、昼夜ほぼ均等充電する均等充電プログラムでも、昼間充電ケースに近い出力抑制緩和効果を期待できる。
C1-6 Japanese Megasolar Narratives:What shapes support for utility-scale and rooftop solar?
○Sian Bareket,杉山 昌広,栗栖 聖(東京大学)
We conducted a national survey across Japan to determine what shapes public support for utility-scale versus rooftop solar. This included an analysis of the prevalence and credibility of common megasolar narratives, such as the rumor that solar developments drove bears into urban areas. While large-scale developments face local backlash, information campaigns alone may not suffice. We reveal what drives public perception, providing critical insights for future renewable energy policy.
C1-7 EV電池と電力系統の統合に関するOEM各社の動向
○片岡 良介(豊田中央研究所)
EV電池を電力系統の需要側資源として活用するV2Gや、電池交換ステーションを介した系統統合が進展している。本研究では、世界の主要自動車OEMを対象に、各社の公開資料から、EV電池と系統の統合に関するビジョンとその正当化、技術開発・実証・商用化への資源投入、電力・電池関連事業者等との連携関係を整理する。これらを比較し、技術経路の地域差、機能の分担、OEMを横断する共通パートナーの役割等を分析する。
9:30~11:40 セッションD1 省エネルギー 会場:D(As313・314)
D1-1 DQNを用いた蓄熱ヒートポンプ暖房システムの電力コスト低減
○北代 真央(東京大学)
再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力需給に応じた需要側の柔軟な制御が重要となっている。本研究では、蓄熱槽を備えたヒートポンプ暖房システムを対象に、電力価格や室温、蓄熱槽温度等を考慮したDQN(Deep Q-Network)制御を行う。従来のルールベース制御と比較し、室内快適性を維持しつつ、電力コストの低減および電力需要の時間シフトの可能性を検証する。
D1-2 太陽光発電量と電力・空調負荷の予測に基づく電気・熱エネルギーシステムの運用最適化に関する研究
○沖原 峻(北海道大学),長野 克則(苫小牧工業高等専門学校),佐藤 英樹(三建設備工業)
太陽光発電や蓄電池の普及と売電単価の低下を背景に、建物内の電気・熱エネルギーを効率的に利用することが求められている。本研究では、蓄電池と蓄熱槽を含むエネルギーシステムを対象に、太陽光発電量、電力需要および空調負荷の予測に基づいて最適な運用計画を策定する計算システムを構築し、寒冷地に位置する中規模事務所ビルの実測データを用いたケーススタディで運用効果を評価した。
D1-3 ハイブリッド給湯機によるデマンドレスポンス効果の推計
○岸田 真一,水谷 傑(住環境計画研究所),所 寿洋,山本 雅亮(リンナイ)
ハイブリッド給湯機は、ヒートポンプとガス給湯を組み合わせた住宅用給湯機であり、電力需要を増加させる上げDRと、電力需要の抑制またはシフトを行う下げDRの双方に対応可能である。本研究では、ハイブリッド給湯機の時刻別エネルギー消費データを用いて、上げDRおよび下げDRによる1台当たりの需給調整力を算定し、将来の普及台数を考慮した全国規模の需給調整ポテンシャルを推計する。
D1-4 高効率給湯機器の中流プログラムについての事業者インタビュー調査
○中野 一慶,山田 愛花(電力中央研究所)
我が国では、家庭部門の省エネ機器への補助について、事業者が申請を行うことや、販売時点の即時割引を可能にするような手法(中流プログラム)が取り入れられはじめている。そうした制度の特徴が実際に補助の有効性につながっているかについては、十分な知見の蓄積がない。そこで本稿では、我が国の給湯機器への補助事業を取り上げ、その利用経験について、補助を利用・申請する立場である事業者へのインタビューを行う。
D1-5 中流プログラムの利用者経験と補助方式の選好
−東京ゼロエミポイントの補助利用者アンケートに基づく分析−
○山田 愛花,中野 一慶(電力中央研究所)
省エネ補助の設計では、給付額や対象性能に加え、補助の還元経路や適用時点も論点となる。東京都民の省エネ設備・家電の購入を支援する東京ゼロエミポイントは、2024年10月、購入後に顧客が自ら申請して後日給付を受ける方式から、登録販売店との共同申請による購入時値引きへ移行した。本稿では、アンケート結果から、中流事業者を介して補助を還元する形式(中流プログラム)への変更に対する利用者の評価を報告する。
D1-6 スマートメータデータと大規模言語モデルを活用した事業所向け省エネアドバイス自動生成ツールの開発
○木村 宰(電力中央研究所),佐川 大志(東京大学),小松 秀徳(電力中央研究所),田中 謙司(東京大学)
事業所での省エネ推進への寄与を目的として、筆者らはスマートメーダデータを用いた省エネアドバイスツールを開発してきた。本稿では、ピークデマンド可視化ツールに、大規模言語モデル(LLM)に基づく生成AIと、省エネ対策に関するデータベースを組み合わせ、事業所特性に応じた省エネアドバイスの自動生成ツールを開発した。ここではその概要を紹介し、省エネ対策データベースの参照の有無によるアドバイス内容の変化を分析する。
9:30~12:00 セッションE1 <企画セッション>
研究プロジェクト「カーボンニュートラルなエネルギー需給に関する調査研究」報告会 会場:E(コンベンションホール)
13:00~14:30 セッションA2 電力システム(1)DR・時間別CO2 会場:A(An301・302)
A2-1 再生可能エネルギー大量導入下の全国電力系統における需要応答の需要シフトおよび調整力供出価値の分析
○久富 有峻,分山 達也(東京科学大学)
再エネの導入拡大は残余需要の日内変動や出力予測誤差に起因する調整力必要量を増加させ、電力系統の運用負担を増大させる。この課題に対して需要側の柔軟性を活用する需要応答(DR)が期待されている。本研究は将来の日本全国の電力システムを対象に、DRによる需要シフトと調整力供出を考慮した需給シミュレーションを行った。出力制御や総変動費への影響を分析することで、DRの系統運用価値を定量的に評価した。
A2-2 時間別CO2排出係数算出における連系線を通したエリア間CO2授受に関する考察
○篠田 幸男,矢部 邦明(早稲田大学),佐々木 正信,岡本 哲也(東京電力エナジーパートナー),相磯 充,塩澤 守弘(東京電力ホールディングス),林 泰弘(早稲田大学)
需要家のCO2排出量を公平に算出し、昼間への需要シフトなどの行動変容を促すためには、電力エリア別の時間別CO2排出係数を活用することは非常に有効である。その活用のためには、公平かつ現実に即した電力エリア別時間別CO2排出係数であることが重要である。本項では、連系線を通して電力エリア間で授受されるCO2量をどのような考え方・方法で算出すべきか、考え方、算出方法、結果などの比較により考察する。
A2-3 時間帯別CO2排出係数に基づく系統用蓄電所の地域内再エネ活用評価
○倉橋 未岬,秋元 祐太朗,岡島 敬一(筑波大学)
再生可能エネルギーの有効活用に向け、系統用蓄電所が注目されている。再エネ有効活用に向けて異なる時間帯に充放電を行う蓄電所のCO2削減効果を適切に評価するには、時間帯別排出係数の考慮が望ましい。本研究では、時間帯別排出係数を用いて系統用蓄電所のCO2削減量を評価するとともに、複数エリアの需要量とPV発電量を考慮し、蓄電所による再エネの地域内活用への貢献と、各エリアのCO2排出量への影響を明らかにする。
A2-4 需要家向けアワリーマッチングにおける環境価値取引シミュレーション
○吉田 琢史,鈴木 絢香,李 根(東芝)
GHGプロトコルScope2ガイダンスの改訂に伴い、多くの企業が対応を迫られている。これらの企業がバーチャルPPAを通じてアワリーマッチングにおける環境価値を調達するのを支援するための、環境価値取引シミュレータを開発した。新型PPA決済スキームの下での企業の年間CFE(Carbon Free Energy)率や収益性について分析する。
13:00~14:30 セッションB2 再生可能エネルギー 会場:B(An401・402)
B2-1 Introducing infrastructure data into a global assessment of the potential of ground-based variable renewable energy
○SILVA HERRAN Diego(国立環境研究所)
The potential of ground applications of large-scale variable renewable energy (VRE), namely solar PV and onshore wind power, are determined by the suitability of land for installing these technologies. This study introduces the existence of infrastructure into a global assessment of the energy potential of ground-based VRE. The study combines geospatial data of climate and infrastructure to estimate the annual energy potential of VRE at the global scale.
B2-2 世界の洋上風力発電施設の開発状況と今後の見通し
○小田 潤一郎(秋田大学),稗貫 峻一,朝野 賢司,永井 雄宇(電力中央研究所)
洋上風力発電は、今後も導入拡大が期待される主要な電源の一つである。世界的に導入が進む中、事業費単価の上昇やプロジェクトの撤回なども一部で見られる。本報では、4C Offshore等のデータベースおよび公開情報に基づき、2026年時点における世界の洋上風力発電施設の開発状況を整理し、今後の導入見通しについて考察する。
B2-3 洋上風力発電プロジェクトの中止要因の国際比較̶日本と海外における理由の類型化̶
○稗貫 峻一,朝野 賢司,永井 雄宇,間瀬 貴之(電力中央研究所),小田 潤一郎(秋田大学)
洋上風力発電では開発途中での事業中止が相次いでいるが、その理由を体系的に整理した研究は少ない。本研究では、世界の洋上風力プロジェクトのデータベースから中止・休眠となった案件を抽出し、中止に至った理由を類型化する。そのうえで、日本と海外の理由構成を比較し、両者の共通点と相違点を明らかにする。得られた結果をもとに、日本の洋上風力発電の導入に向けた示唆を議論する。
B2-4 光量子センサと魚眼カメラを用いた営農型太陽光発電パネル下の面的実効遮光率の評価
○朴 俊泳,前 匡鴻,松橋 隆治(東京大学)
営農型太陽光発電の遮光率は主に幾何学的な設計値で評価されており、時刻・天候による光環境の時空間変動を捉える指標が求められている。本研究では、光量子センサと魚眼カメラを併用し、少数の実測PAR値で画像輝度を校正することでパネル下光環境を面的に推定する手法を提案する。得られた分布から実効遮光率を算出し、幾何学的遮光率および先行の空間分布推定モデルとの比較を通じてその有用性を評価する。
13:00~14:30 セッションC2 国内エネルギー政策 会場:C(As311・312)
C2-1 Decomposing the effect of energy efficiency investment:A causal mediation analysis
○今村 勇哉,竹内 憲司(京都大学)
Evaluating the actual performance of energy-efficient dwellings remains an unresolved issue. This study investigates how household behaviors mediate energy savings from double-glazed windows. Using Ministry of the Environment survey microdata (FY2017–2022), we apply causal mediation analysis with instrumental variables and estimate electricity savings. Estimated impact of double-glazed window is 0.199 kWh/m²/month during the summer; 0.928 kWh/m²/month during the winter. This finding suggests that high insulation promotes energy awareness and motivates households to adopt more energy-efficient habits regarding home appliances, yet saved energy is partially reallocated toward increased heating usage.
C2-2 エネルギー価格抑制策による家計支出上昇への定量的影響分析
○石田 博之(青山学院大学)
2022年頃からエネルギー価格が高騰し、産業界や家計の支出に影響を及ぼしている。政府はエネルギー価格の高騰を抑制するため、ガソリンや電力などのエネルギーに対して補助金を支給してきた。本稿ではエネルギー価格高騰による家計への影響、政府の補助による家計費上昇の緩和効果について分析した。政府の補助は家計費上昇の抑制に一定の効果をもたらしているものの、所得階層間や地域間における負担格差を解消するものではない。
C2-3 エネルギー価格は新技術補助金よりも環境技術の普及を促すか?メタ分析による検討
○秋山 知也,吉田 好邦(東京大学)
エネルギー価格上昇は環境技術の普及を促進する。では、その効果はどの程度だろうか。本研究は、エネルギー価格上昇による累積費用増加を環境技術への補助金相当額に換算し、EV・住宅用太陽光の普及を分析した107研究・160推定値を統合した。その結果、1,000ドル相当のガソリン価格上昇は、約3,600ドルのEV補助金に匹敵する普及効果と関連しており、補助金に比べ、価格上昇の方が環境技術を検討する契機となりやすい可能性が示唆された。
C2-4 東京都墨田区・世田谷区における住宅用太陽光発電の導入要因と情報入手経路の分析
○平田 一真(芝浦工業大学)
従来、住宅用太陽光発電の導入要因として経済的便益や環境意識が重視されてきた。しかし、売電価格や初期費用をめぐる状況が変化する中、災害への備えは新たな導入要因となるのか。本研究では、東京都墨田区・世田谷区の持ち家戸建住宅居住者を対象に、経済・環境・防災面の認知と設置行動・意向との関係を比較する。さらに、情報の多様化に伴い、入手経路と内容が導入意向にどう結び付くのかを検討する。
13:00~14:30 セッションD2 エネルギー資源・国際需給 会場:D(As313・314)
D2-1 イラン戦争・ホルムズ海峡封鎖後のLNG需給動向の一考察
○川上 寿夫(日本エネルギー経済研究所)
カタール・UAEのLNG供給縮小とホルムズ海峡の輸送制約の影響は、短期間に収束しない。試算の結果、2026~27年は世界のLNG供給能力が想定需要を下回り、供給能力が需要量を上回るピーク時期も2020年代後半から2030年代前半にずれ込むことで、LNG市場の成長は数年分鈍化する見通しである。LNG供給には不確実性があり、エネルギー安全保障の観点から今後のLNG調達戦略に変化が生じると考えられる。
D2-2 米国燃料用エタノール先物市場における時系列モデルを用いた多因子リスク分析
○大川 寛之(日本エネルギー経済研究所)
中東情勢の緊迫化による供給途絶リスクの高まりから、ガソリン代替となる燃料用エタノールの需要拡大が予想される。そこで、米国のコモディティ先物市場の価格変動が、米国の燃料用エタノール先物市場価格の変動に与える影響を分析する。この結果、原油、砂糖先物市場の価格変動が、燃料用エタノール先物市場の価格変動に影響を与える可能性が示された。この発見は、燃料用エタノール市場の価格変動の理解に貢献すると考えられる。
D2-3 資源ナショナリズムの新たな動き ー資源国における外資活用と輸出管理強化の動きー
○森 義雅,甲斐 容子(日本エネルギー経済研究所)
イラン紛争に伴うエネルギー供給網の混乱を受け、資源国を含む各国で資源確保の重要性が再認識されている。インドネシアや豪州などでは、国内供給の確保や産業振興を背景に、開発段階で外資を積極的に活用しつつ、販売・輸出段階で政府の統制を強める動きが見られる。本稿では、この外資活用と生産後の統制強化の併存を資源ナショナリズムの新たな潮流と捉え、従来型との相違と政策的背景を分析する。
D2-4 九州地域の天然水素資源の有望地選定に関する技術検討の取組みについて
○加納 雅俊(九州電力),山田 泰弘(九州大学)
昨年度からNEDO委託事業として九州大学と共同実施している九州地域での天然水素に関する研究開発の取組みについて、昨年度の成果及び今年度の研究開発の取組みについて発表
13:00~14:50 セッションE2 <企画セッション>
国際的な議論を経て深化するエネルギー研究 −IAEE Santiago 2026における日本からの発表とその展開− 会場:E(コンベンションホール)
E2-1 IAEEの活動と2026年チリ大会の紹介−国際的なエネルギー経済研究と交流−
○小川 順子,山下 ゆかり(日本エネルギー経済研究所)
国際エネルギー経済学会(IAEE)の概要と活動を紹介するとともに、2026年7月にチリ・サンティアゴで開催された第47回IAEE国際大会の概要を報告する。エネルギー市場、気候政策、脱炭素化、エネルギー安全保障等の主要テーマを概観し、国際的な研究動向や研究者の交流の様子を紹介する。あわせて、日本の研究者による発表を共有する本企画セッションの趣旨を説明し、国際会議を通じた研究発信と交流の意義を伝える。
E2-2 一律電気料金による厚生損失:日本の卸電力市場データを用いた実証分析
○徳永 亜海(京都大学)
再生可能エネルギーの導入拡大により発電の限界費用は時間的に変動する一方、小売料金は一律料金が主流である。本研究は、JEPXの30分単位の入札データから需要・供給曲線を構築し、一律料金制が生む死荷重損失を定量化する。さらに、時間帯別料金などの代替的料金制度による非効率性の削減可能性を検討する。
E2-3 Comparative Analysis to Allocate Greenhouse Gas Emissions from International Shipping and Feedback from the IAEE International Conference in Chile
○澤村 信宏(京都大学)
Greenhouse gas emissions from international shipping have increased significantly, accounting for approximately 2% of global emissions in 2022. In 1996, the UNFCCC proposed eight options to allocate carbon dioxide emissions from international shipping to each country and region. We adopted the Analytic Hierarchy Process (AHP) for this study. Then, we compared and evaluated the eight options proposed by the UNFCCC by four criteria, i.e., feasibility, administrative burden, fairness, and evasion for this study. As a result of this study, two criteria, feasibility and administrative burden, were critical factors in evaluating each alternative. Ultimately, since Option 1 yielded the highest value, we preliminarily recommend selecting it as the best alternative.
E2-4 日本の太陽光発電のCO2排出削減効果の実証分析
○杉本 康太(横浜国立大学)
Where does the power system adjust when solar generation increases in one region? Using 32,704 half-hourly observations from Japan’s nine interconnected electricity regions between April 2024 and March 2026, I estimate complete 9 × 9 source–host response matrices for coal, gas, oil, conventional hydro, and net pumped storage. I instrument the nine regional solar series jointly with regional global horizontal irradiance. Because each matrix contains 81 hypotheses, I apply a within-technology step-down family-wise-error correction. I find solar displacement in Japan is local, and the long-range responses visible in the unadjusted matrices are largely an artifact of cell-by-cell inference.
E2-5 九州における太陽光発電と電力価格分布の広がりの関係に見られる季節非対称性
○福家 信洋(神戸大学),大橋 和彦(一橋大学)
本研究では、太陽光発電の比率が高く連系線制約のある九州を対象に、2016~2021年度の時間別電力需給データと前日スポット価格を用いて、太陽光発電時間帯における発電量と電力価格分布の関係を分析した。分位点回帰、0.9–0.1分位範囲回帰、MMQRを併用した結果、2018~2019年度には太陽光発電の増加が夏季は価格分布の広がりを縮小させ、春・秋・冬は拡大させる季節非対称性が3手法で確認された。
14:50~16:20 セッションA3 電力システム(2)電源構成 会場:A(An301・302)
A3-1 基幹系統の潮流制約を考慮した2050年の電化シナリオの評価
○志村 啓紀,山本 博巳(東北大学)
2050年カーボンニュートラル達成に向け、需要側の電化が重要である。一方で、再エネ偏在下では、都市部での電化による電力需要増加は潮流制約を顕在化させる可能性がある。そこで、筆者らが開発した東日本の基幹系統をモデル化した多地域エネルギーチェーンモデルを用いて系統制約下での電化のシナリオ分析を行った。電化が進むとき、都市圏を中心に電力需要が増加し、系統混雑が生じることが明らかになった。
A3-2 データセンターの立地・運用を考慮した電源・分散型エネルギーシステム統合最適化モデルの構築と評価
○谷口 尚紀,藤井 康正,小宮山 涼一(東京大学)
データセンター(DC)の電力需要増加に対し、電力系統と地域エネルギーシステムの双方を考慮した立地・運用が重要となる。本研究では、全国規模の最適電源構成モデルと、耐水槽蓄熱システム、DCの冷却系統等を考慮した分散型エネルギーシステムモデルを構築し、Dantzig-Wolfe分解を用いて統合する。電源の増設や系統混雑、地域の冷却特性、およびDCのDR等を考慮し、DCの最適配置・運用と電力・熱エネルギーシステムへの影響を分析する。
A3-3 北海道周辺海域への洋上風力大量導入時における電力需給とオフグリッド型データセンター配置の影響評価
○白井 翔,佐藤 徹(東京大学)
北海道周辺海域に洋上風力15GWを導入した場合の、1時間ごとの海域毎の発電量の総計と道全域の需要を比較し、蓄電や道外への直流送電後に残る余剰・不足電力量、発生時期、継続時間を調べた。次に、データセンター(DC)を洋上風力から直接オフグリッドで給電する際のDC規模と蓄電容量を変えて、DC配置前後で道全体の余剰・不足電力量の変化をシミュレーションし、道全域への安定供給に必要な条件を見出した。
A3-4 地域特性に応じた柔軟性技術による統合コスト低減効果
○尾羽 秀晃,小手川 鑑,遠藤 聖也,廣瀬 梨乃,張 天鴻,坂口 弘泰(日本エネルギー経済研究所),松尾 雄司(立命館アジア太平洋大学),大槻 貴司(早稲田大学)
変動性再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、統合コストの増加が懸念される。本研究では、技術選択モデルを用いて統合コストを要素別に分解し、デマンドレスポンスや蓄電池などの柔軟性技術による低減効果を評価した。その結果、VRE比率や地域間連系線の接続状況等の地域特性によって、柔軟性技術の有効性が大きく異なることを示した。本結果は、VRE比率や地域特性を考慮した柔軟性技術の選択が重要であることを示唆する。
14:50~16:20 セッションB3 バイオマス 会場:B(An401・402)
B3-1 大阪・関西万博における食品残渣からのメタネーション実証用バイオガス製造
○牧野 航汰,大隅 省二郎,北村 一貴,湯田 遼(Daigasエナジー)
大阪・関西万博のメタネーション実証において、Daigasエナジーはオンサイト型バイオガス化装置により会場の食品残渣を用いて実証用CO2を含むバイオガスを製造した。食品残渣由来の油分・窒素阻害リスクに対し、原料の分別、投入量・希釈倍率の管理を行うことで会期中の目標発生ガス量を達成した。本実証は廃棄物系バイオマスを活用した地産地消エネルギーの有効性を示し、ガス事業の脱炭素化に貢献する。
B3-2 分散型コーヒー廃棄物を対象としたバイオ燃料化の経済性評価に関する研究
○石田 嶺(京都大学)
日本で排出されているコーヒー廃棄物(SCG)は、エネルギー源として高いポテンシャルを持つ一方で、エネルギー利用は進んでいない。SCGの燃料化が成立する条件を調べるため、人口密度と処理規模を独立変数とする幾何学回収モデルを構築しLCOEを算出した。分析の結果、経済的成立条件は人口密度Dまたはプラント処理規模が一定以上高い条件下のみ存在し、システムの導入は、都市部でその有効性が高い可能性があることを解明した。
B3-3 世界の農作物残渣の利活用シナリオ評価:バイオ炭生産とバイオプラスチック原料化の比較
○林 礼美(地球環境産業技術研究機構),Joni Jupesta(IPB University),秋元 圭吾(地球環境産業技術研究機構)
農作物残渣は、発生の規則性や収集性に優れた未利用バイオマス資源である。本研究では、世界農業土地利用モデルを用い、圃場保全や家畜用途を除く利用可能な農作物残渣量を地域別に推計する。さらに、残渣をバイオ炭生産またはバイオプラスチック原料化に利用するシナリオを設定し、温室効果ガス排出削減量および削減費用を比較評価する。その結果を基に、農作物残渣の効率的な資源利用方策と脱炭素化への貢献可能性について考察する。
B3-4 秋田県における地域特性を考慮したエネルギーフローの構築
○森尾 瑠星,古林 敬顕(秋田大学)
地域分散型エネルギーの普及には、再生可能エネルギーの導入による経済効果を地域内へ還元する仕組みが重要である。一方、既存のエネルギーフロー分析では、地域内での地産地消を前提としており、実際の電力や経済効果の域外流出が十分に考慮されていない。本研究では、秋田県・秋田市・能代市などを対象に、最新統計から地域のエネルギー需給構造を特定し、産業構造や地理的特性を踏まえた実態に即したエネルギーフローの構築を目指す。
14:50~16:20 セッションC3 学校施設 会場:C(As311・312)
C3-1 小中学校の電力需要特性を考慮したエネルギーマネジメントとCO2排出量評価
○城所 研甫(芝浦工業大学)
さいたま市では、小中学校での廃棄物発電を活用した地域エネルギーマネジメントシステムの導入が予定されている。本研究では、系統別の電力使用データから需要特性を把握し、需要パターン別に需要平準化とオンサイトPV・廃棄物発電の自家消費率向上を図る蓄電池の運用方法を検討する。評価についてはアワリーマッチングを参考に電源構成からCO2排出量を算定し、運用方法の改善による小中学校の脱炭素化への有効性を明らかにする。
C3-2 学校の複合クラスタ化による非常時防災性と平常時CO2削減の同時達成
○石川 由翔,秋澤 淳,池上 貴志(東京農工大学)
本研究では、学校・スポーツジム・コンビニからなる複合クラスタを対象に、平常時のCO2排出量削減と非常時のレジリエンス確保を考慮した分散型エネルギーシステムを検討する。線形計画法により設備構成・容量・運用を決定し、学校に主要設備を集約し、建物間で電力・熱を融通するクラスタ型と単独建物型を比較する。経済性、省エネルギー性、CO2排出量削減効果およびレジリエンス確保に要する設備容量の差異を評価する。
C3-3 学校施設における気象条件を考慮した空調運用指針の検討
○岡野 陽斗(芝浦工業大学)
学校施設の省エネルギー化には、空調のエネルギー消費削減と教室内の温熱快適性の両立が重要である。本研究では、実測電力・気象データの分析とEnergyPlusによる教室モデルを用いて、現状の空調運用と、気象条件に応じて設定温度や運転時間等を変更した運用を比較する。空調消費電力量と温熱快適性の両面から改善効果を評価し、両者を満たす空調運用指針を提示する。
C3-4 大学キャンパスにおける太陽光発電導入と蓄電池容量の経済合理性に関する検討
○犬原 拓海(芝浦工業大学)
PV発電の導入拡大が進む一方、都市部では設置場所に制約がありオフサイトPPAが有力視されている。 しかし発電量と電力需要の時間的なミスマッチにより余剰電力が発生し、事業採算性にも影響する可能性がある。本研究では芝浦工業大学大宮キャンパスを対象に、PV導入時の余剰電力を推計評価し、蓄電池による余剰電力吸収とピークカット効果を分析する。 さらに導入費用と効果を比較し、経済合理的な蓄電池容量を検討する。
14:50~16:20 セッションD3 国際エネルギー・気候政策 会場:D(As313・314)
D3-1 トランプ政権のエネルギー政策とシェール事業の実態
○甲斐 容子,森 義雅(日本エネルギー経済研究所)
イラン紛争に伴う供給網の混乱下、米国産原油はアジア・欧州において中東からの供給減少を補った。一方、米国産原油は生産・輸出の拡大余地に限界があると考えられることに加え、トランプ政権が掲げる低価格での供給などと民間企業の投資採算確保の両立も課題となる。本稿では、タイトオイルの開発動向と天然ガスの供給構造、企業の投資行動を分析し、同政権の政策が原油・天然ガスの生産・輸出と国内価格に及ぼす影響を検討する。
D3-2 EUを事例にした気候政策の位置づけの変化
○和田 謙一(地球環境産業技術研究機構)
EUはこれまで気候政策が主要な政治的アジェンダであった。しかし近年、ロシアのウクライナ侵攻、中国とのグリーン産業競争など国際環境が変容し、域内でも極右政党の勢力拡大など政治的環境が変化する中、気候政策はエネルギー安全保障、産業競争力、経済安全保障、社会保障などの政策課題と結びつきを強めている。本論文では、欧州の政策文書をもとに気候変動政策の位置づけがどのように変化してきたのかを明らかにする。
D3-3 中国の自動車電動化の動向,政府目標と自動車強国の実現可能性に関する一考察
○李 志東(長岡技術科学大学)
中国は世界の自動車電動化を先導している。政府は2025年、新エネルギー自動車(NEV)販売比率目標を2040年に80%以上と設定した上、NEV目標規制とクレジット取引制度の改正を断行し、比率の目標規制を2025年の38%から2027年に58%へ引き上げた。2026年9月に、2030年に自動車強国を実現する「スマートコネクテッドNEV産業発展第15次五カ年計画」を策定した。 本研究では、自動車電動化の動向、政府目標の達成可能性について検討を試みる。
D3-4 中国の脱炭素化の動向と第15次五カ年計画の概要および課題に関する一考察
○李 志東(長岡技術科学大学)
中国は2021年に脱炭素「3060目標」を、2025年に2035年の炭素排出量をピーク比7〜10%減とする新たな排出削減目標(NDC)を国連に提出した。そして2026年3月に、「3060目標」を法制化した「生態環境法典」が成立し、目標実現の担保となる「第15次五カ年計画綱要」も策定された。 本研究では、中国の「3060目標」に向けた取組みの現状と第15次五カ年計画の概要を把握すると共に、今後の課題について検討を試みることである。
特別講演会 会場:An棟2階 コンベンションホール
16:45~16:55 会長挨拶
16:55~17:55 特別講演
「AI・データセンター」(仮題) ・・・東京大学 大学院情報理工学系研究科 教授 江崎 浩 氏
(司会)秋元 圭吾(エネルギー・資源学会 企画担当理事)
技術交流会 会場:An棟1階 ape cucina naturale
18:15~20:00
1月27日(水)
9:30~12:00 セッションA4 電力システム(3)市場価格・運用・投資 会場:A(An301・302)
A4-1 電力市場における小規模供給者の供給余力が市場支配力に与える影響の検討
○後藤 寛貴,森田 浩(大阪大学)
支配的事業者が存在する電力市場(スポット市場)では、小規模供給者の増産余力が市場支配力を抑制すると考えられる。本研究では、小規模供給者の供給容量を考慮し、その供給余力の減少が残余需要、均衡価格および市場支配力に与える影響を理論的に分析する。さらにJEPXの市場データを用いて、理論的に得られた価格形成メカニズムとの対応を検討する。
A4-2 起動停止計画後の価格計算における退化の診断−価格非一意性の確認−
○簑津 真一郎(電源開発),荻本 和彦(東京大学)
起動停止計画で起動状態を固定した線形計画の需給均衡制約のラグランジュ乗数を価格と読む場合、運転計画と総費用が定まっても価格が一つに定まらない退化が生じ得る。本稿では、元問題の最適性、異なる最適価格の存在、価格集合の端点を分けて検算し、確認できた事項と未確認の事項を分けて報告する診断法を示す。簡易モデルで価格区間を導き、同値な定式化による代表価格の差と、起動状態の条件を失う報告の情報損失を確認する。
A4-3 PyPSAによる日本電力システムの実績再現:スポット価格と予備力運用の検証
○高瀬 香絵(自然エネルギー財団),Ivan Andrew Gunawan,分山 達也(東京科学大学)
オープンソース電力モデルPyPSAで日本の1年間の需給、発電設備、連系線と予備力制約を再現し、実績のスポット価格や電源別発電量等と比較する。起動停止、蓄電池・揚水、予測誤差に対応する予備力を含む運用を検証し、将来の高再エネ電力システム分析に用いるモデルの妥当性を評価する。
A4-4 再生可能エネルギー大量導入下の系統慣性低下対策技術の評価
○瀬川 周平(J-POWERビジネスサービス),荻本 和彦,岩船 由美子(東京大学),東 仁,礒永 彰(J-POWERビジネスサービス)
変動性再生可能エネルギー(VRE)の大量導入に伴う同期機の運転容量減少は、系統慣性を低下させる。本研究では、2040年の需給シナリオと最新の調整力必要量を反映した年間需給解析により、系統慣性低下対策技術として、GFMを搭載した系統用蓄電池と同期調相機などの適用効果を検証し、さらに、運用費低減効果に基づき資本回収係数を用いて運用費と設備費用を評価する。
A4-5 ダム運用負荷の低減に向けた流入量予測技術の開発
○新垣 隆生,ポール トポン,西野 兼治,森 淳二,影山 雄大,向 利昌,渡邉 経夫(東芝),柳 健悟(東京電力リニューアブルパワー)
気象予報の不確実性下でダム運用を効率化するため、季節・気象条件に応じて予測モデルを切り替えるダム流入量予測技術と、気象予報のずれを検知して予測を適応的に更新する手法を提案する。実ダムデータによる評価を通じ、流入量予測精度向上と運用計画の見直し頻度低減を両立できることを示す。
A4-6 電力市場と長期的な電源投資を接続するエージェントベースモデル研究の体系的レビュー
○大川 祐輝,鈴木 研悟(筑波大学),大沼 進(北海道大学),澁谷 長史(筑波大学)
既往の電力市場を対象としたエージェントベースモデルのレビューでは、発電事業者の短期的な入札行動と市場結果が長期的な電源投資に反映される関係、投資結果の評価方法、研究対象となる政策が整理されていない。本研究では33件の論文を体系的に整理した。市場結果は投資判断に反映されるが、入札・投資は所与の判断基準に基づくものが多かった。投資結果は政策条件間で比較され、中でも脱炭素化・安定供給政策が多く扱われた。
A4-7 電源多段階確率計画モデルによる不確実性下の小型モジュール炉導入戦略の分析
○山嵜 ひかり,藤井 康正,小宮山 涼一(東京大学)
小型モジュール炉(SMR)は、建設リードタイムの短縮や出力調整の柔軟性などの利点が期待される一方、規模の不経済により、大型炉と比較して経済性が劣後する可能性がある。また、エネルギーシステムの構成は、エネルギー政策や電力需要などの社会情勢に大きく左右される。そこで本研究では、電源多段階確率計画モデルを用い、建設リードタイムの短縮および習熟効果を考慮した上で、不確実性下におけるSMRの導入可能性を分析する。
9:30~12:00 セッションB4 エネルギーマネジメントシステム・調整力供出 会場:B(An401・402)
B4-1 リゾートホテルにおけるアンモニア・水素利用分散型エネルギーシステムの経済性・環境性評価
○太田 聡,浅野 浩志,神原 信志,朝原 誠(岐阜大学)
脱炭素化のため、アンモニア・水素を利用するリゾートホテルのエネルギーマネジメントシステムを対象に、CO2排出コストを含むコストを最小化し、太陽光発電、蓄電池、水素利用設備およびアンモニア改質設備の容量および運用を最適化する。設備構成の異なるケースを比較するとともに、アンモニア価格と炭素価格を変化させ、設備選択、最適容量、コストおよびCO2排出量への影響を評価する。
B4-2 混合整数二次制約計画法を用いた双方向低温熱融通ネットワークの最適運用計画(需要家数の影響分析)
○戎崎 亮介,馬場 啓輔,橋口 萌,涌井 徹也(大阪公立大学)
電気駆動ヒートポンプおよび蓄熱機器を需要家に分散配置し、相互に熱融通を行う双方向低温熱融通ネットワークを用いた第5世代地域熱供給システムの最適運用計画を立案する。特に、混合整数二次制約計画法を適用することで、熱融通時の質量流量と供給冷・温水温度の積で熱流量を表現する。その上で、構築した最適運用計画手法を複数の需要家から構成されるシステムに適用し、需要家数が省エネルギー性に与える影響を明らかにする。
B4-3 充放電効率最適化運用に係る蓄電システム群制御パラメータ空間の可視化
○有馬 理仁(大和製罐),福井 正博(立命館大学)
変動性再生可能エネルギーの利活用の場面における蓄電システムの利用が拡大している。実際の運用において複数のユニットからなる蓄電システム群を制御する場面が考えられ、その群全体としての運用効率最適化が重要である。本発表では劣化等の経時性能変化に係る蓄電システム群制御のパラメータ空間を可視化するとともに、これを踏まえた今後の効率最適化群制御に向けた展望を述べる。
B4-4 予測・計画・制御を階層的に統合したPeer-to-Peer電力融通マネジメント
○竹内 翔真,黒田 こころ,橋口 萌,涌井 徹也(大阪公立大学)
複数の需要家間のP2P電力融通に着目し、予測・計画・制御を階層的に統合したマネジメント手法を構築する。各需要家のPV出力やエネルギー需要量を機械学習に基づいて予測し、その予測値を入力条件として混合整数線形計画法による電力融通計画を立案する。さらに、立案した計画に機器出力や蓄エネルギー量を追従させるリアルタイム運用制御を行う。このマネジメント手法をP2P電力融通ネットワークに適用し、その有効性を明らかにする。
B4-5 電力市場と再生可能エネルギーを考慮したデータセンターの計算負荷移動による電力コストと環境負荷の低減に関する基礎検討
○牧野 礼志,前 匡鴻,松橋 隆治(東京大学)
データセンターの電気料金低減に向け、計算負荷の移動を活用した運用について基礎的に検討する。仮想的な複数拠点を対象に、電力市場価格や再生可能エネルギーの導入状況を考慮し、電気料金を最小化する計算負荷配分のモデルを構築する。負荷移動の有無や電力供給条件の違いによる運用を比較し、電力コストと再生可能エネルギーの利用状況を評価することで、経済性と環境性の両立に向けた可能性を考察する。
B4-6 最低入札量を考慮した分散最適化による電動物流機器群からの調整力入札量算定手法
○玉越 祐作(豊田自動織機)
フォークリフト等の物流機器は電動化が進み、充電電力の抑制による上げ調整力供出で需給調整市場に参画できる可能性がある。一方、最低入札量を満たすには多数台の積み上げが必要で、入札量算定を混合整数計画問題として解くと、台数増加に伴う計算時間が課題となる。本検討では、ADMMに基づく分散最適化に最低入札量制約の緩和等を組み合わせ、集中最適化比で収益の劣化を10%程度に抑えつつ、計算時間の増大を抑制した。
B4-7 家庭用PV・蓄電池のアグリゲーションによる電力市場参画の経済性評価
○藤田 晴貴,前 匡鴻(東京大学),東ヶ﨑 智之,中村 一尊,別所 宏忠(京セラ),松橋 隆治(東京大学)
本研究では、小売電気事業者兼アグリゲーターの視点から、家庭用PV・蓄電池のアグリゲーションによる一次調整力市場参画の経済性を評価する。電力調達費用と市場参画収益を考慮し、各家庭の自家消費と一次調整力供出を両立する蓄電池群の運用最適化モデルを構築する。需要に対する再エネ供給量の割合を自家消費率と定義し、その下限制約に関する感度分析を通じて、自家消費の確保と市場参画による経済効果の関係を明らかにする。
9:30~12:00 セッションC4 部門別需要(1)自動車・家庭 会場:C(As311・312)
C4-1 自家用乗用車の走行時CO2排出量に影響を及ぼす要因の市町村間比較
○本城 慶多,原 昌司,志賀 孝広(豊田中央研究所),松橋 啓介(国立環境研究所)
自家用乗用車は主要なCO2排出源のひとつであるが、データの制約から、排出実態を市町村単位で把握することは困難であった。本研究では、車検証統計データを用いて、人口1人あたり走行時CO2排出量(排出原単位)の地域差を説明する統計モデルを構築する。さらに、構築したモデルに対してシャプレー値に基づく要因分解法を適用し、社会経済・気候要因が排出原単位の地域差にどの程度寄与しているかを市町村別に評価する。
C4-2 日本の市町村におけるBEV・PHEV普及率の分布と地域特性との関連分析
○高井 咲音,本城 慶多,日高 健(豊田中央研究所)
日本では、EV普及に関する既存研究の多くが特定の地域や限られたサンプルを対象としており、全国的な普及状況や地域差は十分に明らかにされていない。 本研究では、全国の登録自動車を網羅する車検証統計を用いて、市町村別のBEV・PHEV普及率を算出・可視化し、その地域分布の特徴を把握する。
さらに、所得、充電インフラ、気候等の地域特性とBEV・PHEV普及率との関係を分析する。
C4-3 家庭CO2統計からみた高齢世帯の交通手段の現状
○星野 優子(ENEOS),小川 順子(日本エネルギー経済研究所)
家庭CO2統計では、家庭における自動車の利用実態について継続的に調査されてきたが、2023年度版から、自動車以外の交通手段として、鉄道、バス、タクシー、カーシェアリングの利用頻度に関する調査が開始された。CO2排出量削減の観点からは、家庭部門におけるEV普及に加え、モーダルシフトへの期待も高まっているが、この分析では、家庭における交通手段の現状について、特に交通弱者になる可能性が高い高齢世帯に焦点をあてながら整理する。
C4-4 家庭部門世帯類型別エネルギー消費要因分析に関する研究〜家庭部門のCO2排出実態統計調査より〜
○吉田 友紀子(早稲田大学),平野 勇二郎(国立環境研究所)
家庭部門のCO2排出実態統計調査では、ライフスタイルがエネルギー消費に与える影響が多いことが分かっているものの、世帯類型別などの詳細なデータ解析はまだ報告が少ない。そこで、在宅勤務有無の世帯類型別にエネルギー消費構造を明らかにすることで、脱炭素ライフスタイル実装への道筋を示す。
C4-5 地方都市における家庭用LPガス消費構造の比較分析:高岡市と富山市の空間的・地域特性に基づく考察
○耳浦 紬,青山 楽々,神野 拓哉,堀田 裕弘(富山大学)
本研究の目的は、富山県内の異なる都市圏における家庭用LPガス消費パターンと地域特性の関係を比較解明することである。高岡市で構築した日次検針データに基づく消費パターンの分類手法を富山市のデータにも適用し、GISを用いた中心部からの距離や都市構造の違いが需要構造に及ぼす影響を空間的に分析する。両市の比較を通じて、地方都市におけるエネルギー需要の空間的特性を明らかにすることを目的とする。
C4-6 集合住宅におけるZEH-Mの実現可能性に関する研究−建物階数・世帯構成・PV設置条件を考慮した実現可能範囲の評価−
○岩本 圭祐(岡山大学),中 勝,藤田 美和子(中部電力),魏 誠浩,鳴海 大典(岡山大学)
集合住宅におけるZEH-M相当水準の実現可能性と実現限界を明らかにするため、建物階数、世帯構成、PV設置範囲を変化させ、省エネ率(再エネを含む)と住戸別の達成状況を評価した。さらに、建物外皮へのPV設置のみでは未達となる条件を抽出し、不足創エネ量から必要追加PV容量および設置面積を算定することで、ZEH-M相当水準の実現可能範囲と制約を定量的に評価した。
C4-7 2026年夏の節電実態の分析−家庭・事業所向けアンケートによる3か年比較−
○西尾 健一郎,吉岡 七海(電力中央研究所)
電力需要動向の把握に資するため、2024~2026年の各夏に実施した家庭・事業所向けアンケートを用い、節電への積極性、対策の実施状況、7月分の購入電力量を比較する。回答者構成や気象条件の違いを指標に応じて考慮し、3か年の推移を複数の側面から捉える。さらに家庭では、対策の実施状況と購入電力量の水準との関連を検討する。
9:30~12:00 セッションD4 産業連関分析応用 会場:D(As313・314)
D4-1 CCS分析用産業連関表の作成:2020年エネルギー社会技術分析用産業連関表(ESTR-IO)を用いて
○鷲津 明由(早稲田大学),柳 懿秦,下田 充(日本アプライドリサーチ研究所),風間 政弥,磯谷 浩孝,中垣 隆雄(早稲田大学)
早稲田大学次世代科学技術経済分析研究所では、総務省が公表した2020年産業連関表に18の再生可能エネルギー電力部門を追加した2020年版エネルギー社会技術分析用産業連関表(ESTR-IO)を作成した。さらに、LNG火力発電所にCCSを設置するとの想定の下で、同施設設備の建設と経常運転に必要な資材量を工学的に推算し、その情報をESTR-IOに追加することで「CCS分析用産業連関表」を作成した。
D4-2 排出削減目標シナリオにおける主要国の消費ベースCO2排出量の将来分析
○本間 隆嗣,長島 美由紀,安藤 輝尚,佐野 史典,秋元圭吾(地球環境産業技術研究機構)
本研究では、実績値の消費ベースCO2排出量に関する構造分解分析を拡張し、国際産業連関構造を内包するエネルギー経済モデルなどを用いて、将来シナリオ分析を行う。主要国の削減目標が、消費ベース排出量や貿易に体化した排出量にどのような影響を与えるかなどを評価する。また、排出量の構造分解により、政策による削減効果が実質的な国内削減によるものか、生産移転によるものかなどを評価する。
D4-3 デジタルイノベーションの普及と世界の物質・エネルギー需要との関連:国際産業連関表を用いた評価
○中野 優子,本間 隆嗣,秋元 圭吾(地球環境産業技術研究機構)
需要側でのデジタル技術の普及は、財・サービスの提供形態の変化を誘発し、物質需要を低減した生活様式への転換を促進しうる。物質需要の低減は、物質に体化されたエネルギー需要やCO2排出を低減し、世界気温目標において重要な役割を持つことが期待される。本稿では、デジタルイノベーションによる世界物質需要の変化を、デジタルイノベーションの普及水準の地域差を考慮しつつ、国際産業連関表を用いて分析する。
D4-4 脱炭素シナリオに残存する石油化学原料需要−需要側対策と連産構造上の波及経路の考察
○長島 美由紀,佐野 史典,本間 隆嗣,安藤 輝尚,秋元 圭吾(地球環境産業技術研究機構)
脱炭素化の進展により、燃焼用途の石油需要は減少する一方で、石油化学原料等の非エネルギー利用は、一定程度残存する可能性がある。 本研究では、主要国・地域で残存する石油化学原料需要について、その用途と製品が担う社会的サービスを対応づけ、需要側対策を類型化する。 これに基づき、石油精製および基礎化学品製造の連産構造を踏まえ、個別製品の需要変化が他製品の供給等に波及しうる経路を検討する。
D4-5 2地域間産業連関分析による水素サプライチェーンの付加価値帰着の評価−福島県産再エネ水素と輸入水素の比較−
○稗貫 峻一,中野 一慶,向井 登志広(電力中央研究所)
福島県とその他全国からなる2地域間産業連関表に再生可能エネルギーと水素エネルギーに関連する部門を追加し、水素サプライチェーンが誘発する付加価値の帰着先を県内、県外、国外に分けて推計した。化石燃料、県産再エネ水素(設備の県外製造と県内製造)、輸入水素のシナリオを比較し、供給コストの大小だけでは捉えられない地域経済効果の違いと、設備の調達先が県内付加価値に及ぼす影響を示す。
D4-6 FCV普及に向けたFCV・EV統合ステーションの運用評価と経済波及効果分析
○西田 陸人,秋元 祐太朗,岡島 敬一(筑波大学),金成 修一(日本自動車研究所)
FCVの普及拡大には低炭素水素の供給が必要であるが、FCV需要が小さい段階では水素ステーションの設備を十分に活用しにくい。PVを備え、EV充電と設備を共有する統合ステーションでは、EVで使いきれないPV電力を水素製造に回せる。本研究では、茨城県の2040年を対象に、需要構成とPV規模に応じた水素のCO2削減効果を運用最適化により評価し、設備構成と費用を産業連関分析に接続する評価手法を示した。
D4-7 Does Freight Electrification Deliver Energy Savings? Economy-wide Rebound and Regional Spillovers in East Asia
○Dai Fangzhou(東京大学)
Freight electrification can reduce oil use, but lower operating costs may stimulate freight activity and offset expected energy and emission savings. Using a multiregional GTAP model with a 2017 benchmark, this study quantifies economy-wide rebound effects and regional spillovers in East Asia, focusing on China, Japan, and South Korea. We compare engineering savings under fixed freight activity with general equilibrium outcomes that capture induced demand, sectoral expansion, trade adjustments, and power-sector emissions. The analysis examines how rebound effects vary across production structures and electricity mixes, informing policies that deliver robust energy and climate benefits.
9:30~11:40 セッションE3 エネルギー貯蔵・再エネ水素 会場:E(As303・304)
E3-1 自然変動再エネ導入水準が長期エネルギー貯蔵導入規模に与える影響 −九州エリアを例として−
○元木 洋輔(日本エネルギー経済研究所)
自然変動再エネ(VRE)の導入拡大に伴い長期エネルギー貯蔵(LDES)の重要性が高まるとされている。 本研究では九州地域を例に、電力需要に対するVREの導入規模を変数とし、蓄電池とLDESの最適規模と構成を分析した。 VRE導入規模が電力需要の30%程度までは蓄電池の小規模導入・高頻度利用で主に対応できるが、70%程度では連続発生する余剰電力への対応にLDESの役割が顕在化することが示された。
E3-2 再生可能エネルギー大量導入下における液化空気エネルギー貯蔵(LAES)のシステム価値
○秋元 慎介(住友重機械工業)
再生可能エネルギーの大量導入に伴い、電力需給の時間的な不均衡への対応が重要となっている。本発表では、液化空気エネルギー貯蔵(LAES)の原理と特徴を示し、長時間・大容量のエネルギー貯蔵、調整力、同期発電機による系統安定化力など、将来の電力システムにもたらす多面的な価値と適用可能性について考察する。
E3-3 再生可能エネルギーの出力抑制電力を活用した東北地方における水素製造ポテンシャルの推計
○門田 直大,古林 敬顕(秋田大学)
再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、出力抑制が発生し、余剰電力の有効活用が課題となっている。本研究では、抑制率の高い九州地方における出力抑制発生時の火力発電設備利用率を分析し、安定供給を確保するための条件を検討する。得られた結果から、洋上風力発電の大規模導入が計画されている東北地方を対象として、余剰電力発生量、水素製造ポテンシャル、水素製造コストを推計し、普及への課題と解決策を示す。
E3-4 Design of a Hydrogen Supply System for Japan in 2050 Considering Energy Use, Water Use, CO2 Emissions and Cost
○ゴンザレス ファン,市川 彩,三野 真樹,荒木 幹也(群馬大学)
In this research, a hydrogen supply system to supply 20 Mt-H2/year was designed using an optimization model that considers energy consumption, water consumption, CO2 emissions and cost. Near zero-emission hydrogen production on cradle to gate basis was considered. Hydrogen imports were considered among the options to supply hydrogen. Due to energy security concerns, the maximum share of hydrogen imports in hydrogen demand was set at 25%. The optimum configuration of the hydrogen production system was evaluated as function of the imported hydrogen price. If imported hydrogen price is lower than 4.0 USD/kg-H2, hydrogen imports are selected as supply hydrogen option.
E3-5 Techno-economic assessment of grid-connected hybrid renewable energy system with Green Hydrogen utilizing Surplus Energy for E-SAF in Okinawa
○Hiu QiZhe(芝浦工業大学)
Today, aviation sector has faced a critical challenge in mitigating carbon emissions due to its traditional jet fuel reliance. Hence, this study examines the proposed grid-connected hybrid renewable system that concentrates on local electricity demand and apply excessive electricity for green hydrogen production for aviation sector in Okinawa. The proposed hybrid system includes PVs, wind turbines, battery energy storage, hydrogen storage and electrolyser. Different scenarios have been analysed technically and financially by using HOMER Pro. The results indicate the techno-economic feasibility of the proposed grid-connected hybrid renewable system for local electricity demand and green hydrogen production.
E3-6 エリア需給における太陽光等の余剰・回収を視覚化する図法の応用
○石川 明(静岡大学)
前回発表では、需給の実績をもとに、需要に対する非調整力電源(原子力、風力、太陽光等)の比率により、出力抑制の発生状況を持続曲線として視覚的に表す図法を提案した。今回は、九州エリアの需給実績をこの図法を含む様々な図法により分析し、太陽光と原子力が需給バランスに及ぼす影響と太陽光増加時の余剰発生の予想を図法により示した。また北海道エリアの実績により、風力発電と太陽光発電の供給力上の特徴を視覚化した。
13:20~15:30 セッションA5 エネルギーモデル(2)グローバルモデル・モデリング手法 会場:A(An301・302)
A5-1 世界温暖化対策評価モデルを用いたカーボンニュートラル達成時点の差異に関するシナリオ分析
○佐野 史典,藤崎 亘,永田 敬博,秋元 圭吾(地球環境産業技術研究機構)
日本は2050年までのカーボンニュートラル達成を目標としているが、国際協調が難しくなっている中、達成時期に一定の柔軟性が必要な可能性もある。本稿では、著者らが開発してきた世界温暖化対策評価モデルDNE21+を用い、CN達成時期を2050年、2070年、2100年とした際の排出削減対策、費用を評価した。また、2050年CNを目指して高コストな排出削減対策に投資したものの、CN達成時期が2070年、2100年に遅れた場合の費用増分についても分析した。
A5-2 デジタル技術による低エネルギー需要・高ウェルビーイング社会の可能性
○秋元 圭吾,佐野 史典,長島 美由紀,林 礼美,中野 優子,大西 尚子(地球環境産業技術研究機構)
デジタル技術は電力需要の増大となる一方で、シェアリング経済やサーキュラー経済が誘発され、高いウェルビーイングを実現しつつ、製品等に体化されたエネルギーの低減ひいてはCO2排出削減も期待される。EDITS(Energy Demand changes Induced by Technological and Social innovation)事業では、国際的な研究ネットワークを構築しながら、需要側対策の可能性を包括的、定量的に評価を進めている。本発表では、研究の背景動向と、これまでの主要な研究成果について紹介する。
A5-3 交通モデルと応用一般均衡モデルの統合による世界の運輸部門における脱炭素化シナリオの評価
○張 潤森,Fangzhou Dai,Hao Zheng(東京大学),花岡 達也(国立環境研究所)
1971~2023年の世界32地域の交通活動データに基づき、旅客・貨物交通需要、交通モード、技術構成およびエネルギー消費・CO2排出を表現する交通モデルを構築し、応用一般均衡(CGE)モデルと双方向に連結する。この統合モデルを用いて、Avoid・Shift・Improve戦略が運輸部門のエネルギー消費・CO2排出および経済に及ぼす影響を評価し、所得・価格・産業構造を介した経済フィードバックが脱炭素効果に与える影響を分析する。
A5-4 多地域コスト最小化モデルにおける根岸ウェイトの定式化
○森 俊介(東京理科大学)
世界エネルギー経済モデルでは、所与の需要のもとで世界総費用を最小化するモデルが多い。わかりやすさの一方、世界が協力して費用最小化行動を取る世界観の非現実性が批判されることもある。世界各地域が市場機構のもとで利己的に行動する場合、効用最大化モデルでは根岸ウェイトの適用が古くから知られているが、コスト最小化モデルへの適用例は見られない。本稿では、コスト最小化モデルにおける根岸ウェイトを定式化する。
A5-5 炭素価格の設計がエネルギーシステムに与える影響分析 −エネルギー技術選択モデルを用いた定量評価−
○永富 悠,尾羽 秀晃,小川 順子,清水 透(日本エネルギー経済研究所)
GX推進法により2028年度から化石燃料賦課金、2033年度から特定事業者負担金が導入され、実際に二酸化炭素の排出に負担が課される。2012年に石油石炭税に上乗せする形で温暖化対策税が導入されているが、今回は二酸化炭素の排出量に着目した炭素価格が広く課される。そこで、炭素の価格付けの設計と炭素価格の影響をエネルギー技術選択モデルによって評価する。
A5-6 地域間連系線最適計算モデルを活用した地域別・電化進展度別の再エネ電源の最適導入量
○鹿野 陽生,坂東 茂,馬場 旬平,界 波(東京大学)
熱需要の電化は電力需要の量と地域分布を変え、再生可能エネルギー電源の最適な導入量に影響する。本研究では、産業熱需要を温度帯別に分解し、200℃未満をヒートポンプ、それ以上を電熱線や誘導加熱等で賄う想定でエリア別電化需要を推計した。熱需要の全量と3割を電化する2ケースで9エリア電力系統の2023年度8,784時間を線形計画で一括最適化し、太陽光・陸上風力・洋上風力の地域別最適導入量を算定した。
13:20~15:30 セッションB5 <企画セッション>エリアエネルギーマネジメントシステム(SIPプロジェクト) 会場:B(An401・402)
B5-1 PV・蓄電池導入促進に向けたレジリエンス評価の活用可能性
○河合 俊明(東京大学),八木田 克英(東京エネルギー研究所),岩船 由美子(東京大学)
長野県生坂村および千葉県匝瑳市で、地域新電力が募集したオンサイトPPA事業への申込世帯を対象に、スマートメータデータを用いてPV・蓄電池導入時の停電時電力供給可能性を世帯別に評価した。30分値から給湯・空調需要を推計し、1時間粒度で運用をシミュレーションした。年間8,760通りの停電開始時刻を想定した評価結果を各世帯に提示し、設備導入の判断材料としての受容性や有用性を確認した。
B5-2 既存事務所ビルストックにおける空調・換気運用改善対策導入効果の面的評価
○鈴木 真帆,Thidathip Kounnavong,山口 容平,内田 英明(大阪大学),村上 公哉(芝浦工業大学),下田 吉之(大阪大学)
本論文は、空調設定温度および外気導入量を自動制御する後付け型エネルギーマネジメントシステム(EMS)を既存建築ストックへ展開した場合の省エネルギー効果を評価する。小規模オフィスビルでのEMS実証実験で得られた実測結果に基づき、EnergyPlusによるシミュレーションでEMSの制御を再現し、東京都中央区京橋2丁目の建築ストックに適用する。地域全体での省エネルギー効果を推計するとともに、建物特性による効果の差異を明らかにする。
B5-3 地域熱供給施設におけるオペレータ支援型最適運転計画システムに関する研究(第1報)後付け型システムの実装と試験導入による効果検証
○笠井 愛,武田 和樹,吉本 真莉子,村上 公哉,橘 雅哉,斉藤 浩,那須原 和良(芝浦工業大学),小川 彰彦(E.I.エンジニアリング)
本研究では、電気式およびガス式の複数の熱源機器を有する地域冷暖房施設を対象に、オペレータ支援型の後付け最適運転計画システムを開発した。本システムは既存制御設備の改修を最小限に抑えつつ、熱負荷予測と最適化シミュレーションに基づく運転計画をオペレータに提示する。2026年度に試験導入を行い、システムの稼働を確認するとともに、実績運転との比較により、一部の運転条件でCOPの向上が得られることを示した。
B5-4 公的データに基づく基礎自治体家庭部門二酸化炭素排出削減進捗の経年モニタリング
○橘 永悟,西村 純,矢延 陸,Andrew Marian Zajch,山口 容平,内田 英明,下田 吉之(大阪大学)
基礎自治体の家庭部門における二酸化炭素排出量削減では、排出量及び対策技術普及現況を把握し、削減目標との差を踏まえて対策を継続的に見直すことが重要である。本論文は、住宅・土地統計調査や航空画像解析など公的データに基づいて省エネ・再エネ設備の普及現況を推計し、その結果に基づいて二酸化炭素排出量を推計する。この結果に基づいて経年モニタリングを実施する方法を提案する。
B5-5 都道府県脱炭素計画のPDCA分析ツール −外生要因調整済み排出量による施策効果の切り分け−
○岩船 由美子(東京大学),八木田 克英(東京エネルギー研究所)
自治体の施策効果は、系統の脱炭素や人口・産業構造の変化に隠れて見えにくい。これを顕在化させるため、公開統計を基本にCO2をLMDI要因分解し、電力排出係数と活動量を基準年に固定した外生要因調整済み排出量を進捗指標とする汎用フレームを構築した。BAU推計と目標の差は対策分野へ配分し、必要な対策規模を示す。東京都では保有データを加えて同一構造で分析し、施策実績を排出量へ接続する課題を示す。
B5-6 地方自治体のニーズを考慮した家庭部門脱炭素化分析ユースケースの整理とケーススタディ
○矢延 陸,橘 永悟,Andrew Marian Zajch,山口 容平,内田 英明,下田 吉之(大阪大学)
本論文は、地方自治体における家庭部門の脱炭素化に向けた計画立案・施策設計を支援するための枠組みを提案する。枠組みでは住宅の地域・セグメント別に技術普及によるCO2排出量削減効果を推計し、需要家の収支の変化、経済性を評価する。結果に基づき技術普及シナリオを構築し、部門全体の排出量を将来推計する。さらに、複数自治体のケーススタディを通じて地域特性や施策効果を比較評価する。
13:20~15:30 セッションC5 部門別需要(2)メッシュ統計・推計 会場:C(As311・312)
C5-1 日本全国を対象にした500mメッシュ別部門別エネルギー種別エネルギー需要量の推計
○福原 貫太,白木 裕斗,林 希一郎(名古屋大学)
本研究では、地域のエネルギー需給構造をより詳細な空間解像度で把握することを目的に、日本全国を対象にしたメッシュ別部門別エネルギー種別エネルギー需要量データベースを構築する。具体的には、建て方別世帯数や産業分類別従業者数などのメッシュ別活動量に、対応するエネルギー消費原単位をかけ合わせることで、家庭・業務・産業部門のそれぞれについて、エネルギー種別・500mメッシュ別のエネルギー需要量を推計する。
C5-2 様々な地域におけるPV余剰電力活用のための蓄電池導入時の系統全体の残余負荷
○片多 亨太,加藤 丈佳(名古屋大学)
再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、蓄電池の導入が地域の電力需給に与える影響を把握することが重要となる。本研究では、中部地域の500 mメッシュデータを用いて、各メッシュの需要および太陽光発電量を基に残余負荷の時系列データを構築する。さらに、蓄電池を導入しないケースと導入したケースを設定し、蓄電池の充放電を考慮した残余負荷の変動を比較・評価する。
C5-3 スマートメータメッシュ統計を用いた配電用変電所需要推計精度の改善
○Zhong Zhihua,岩船 由美子(東京大学)
配電用変電所の需要推計では、メッシュ統計を各変電所へ帰属させる必要があるが、通常用いるボロノイ分割の妥当性は検証されてこなかった。本研究は、東京電力管内のスマートメータメッシュ統計を推計の入力ではなく手法選定の検証器として用い、公開データのみで構成した空間配分手法を比較する。このため選定手法はスマートメータの無い他エリアにも適用できる。発表では、最近傍帰属の問題点と容量重み付き距離減衰による精度改善を報告する。
C5-4 家庭部門の機器別エネルギー消費量推計に向けたボトムアップ・トップダウン統合モデルの構築
○中村 仁明(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
家庭部門のエネルギー消費量を機器別に把握するため、省エネ性能カタログ等を用いたボトムアップ推計と、世帯別の燃料種別消費量に基づくトップダウン推計を組み合わせる。両者の比較を通じて機器性能や使用状況等のパラメータを推定し、ハイブリッドモデルの構築と適用可能性を検討する。
C5-5 Power Demand Estimation for Commercial Building considering People Flow and Building Thermal Inertia
○鄭 翔宇,ZHENG Xiangyu, SHIRAKI Hiroto(Nagoya University),HATANO Ryosuke, TOYODA Takayuki, SHIRAISHI Tsukasa(Chubu Electric Power Co., Inc.),HAYASHI Kiichiro(Nagoya University)
This study developed a multiple regression model to estimate hourly electricity demand in commercial buildings by integrating high-resolution mobile phone location data and building thermal inertia. The analysis was conducted for four commercial buildings in Nagoya City, Japan. Results show that the term for one-hour lagged solar radiation is statistically significant for all buildings, implying the impact of the physical delay of envelope heat transfer. In addition, incorporating the hourly occupant dynamics improves the adjusted R2 from 0.41-0.47 to 0.74-0.91 and reduces the root mean squared error by up to 60%, demonstrating the importance of people flow information.
C5-6 デグリーデー法による冷房需要推計の妥当性の検証
○堀川 雄平,下田 吉之,迫 晴気,五味 勇心(大阪大学)
デグリーデー(DD)法は冷房負荷が外気温と基準温度の差に比例すると仮定し、日射量や湿度の影響を考慮していない。また、COPの変動が消費電力の推計精度に及ぼす影響も十分に検証されていない。本研究では、建物条件と時間別気温に基づくボトムアップモデルとの比較によりDD法の精度を評価した。その結果、DD法は冷房需要を過大推計し、COPの変動よりも熱負荷算出による誤差の影響が大きいことが示された。
13:20~15:10 セッションD5 レジリエンス・EV運用 会場:D(As313・314)
D5-1 家庭用蓄電池の蓄電量確保に伴う平常時電力コストと緊急時電力自給の相反構造分析
○松原 雅,小澤 暁人,本田 智則(産業技術総合研究所)
家庭用蓄電池は、地震などによる突発的な停電への対策の一つである。しかし、緊急時のための余力を持たせた運用は、平常時の電力コストを悪化させる。この相反構造の定量化は、最適な運用条件の提案につながると期待される。本研究では、蓄電池の平常時蓄電量に対して、家庭の電力コストと緊急時電力自給量・時間を定量化する。電力コスト最小化とシミュレーションを通じて、電力コストと停電対策を統合評価する。
D5-2 確率動的計画法による分散型地域循環エネルギーシステムの複合災害に対するレジリエンス評価
○鈴木 梨那,小宮山 涼一,藤井 康正(東京大学),千住 琴音,森 一之(三菱電機)
エネルギー安定供給のため、分散型エネルギーシステムへの関心が高まっている。本研究では、近似確率動的計画法を用いて、コスト最小化を解くことで分散型エネルギーシステムの災害レジリエンス評価を行う。複数種類の災害及び、災害時の再生可能エネルギー出力低下を考慮して定量的な分析を行う。
D5-3 運行スケジュールと太陽光発電の余剰電力を活用した大学送迎用電気バスの車両運用・充電計画の検討
○濵田 航颯(芝浦工業大学)
本研究では、大学キャンパスの送迎バスを対象に、実際の運行スケジュールに基づき、電気バス(EVバス)を導入した場合の消費電力量と充電可能時間を推計する。さらに、キャンパスの太陽光発電(PV)の余剰電力を充電に活用することを想定し、運行本数やPV余剰電力の発生時間帯を考慮して各時間帯の運行車両数と充電車両数を検討し、運行に必要な電力量を確保できる車両運用および充電計画を明らかにする。
D5-4 EVによるリソースと需要の動的な最適配置を目指した電力レジリエンスEMSの提案(第2報)
○飯野 穣,大崎 文暉,林 泰弘(早稲田大学)
地震や台風などの広域停電時にEVやPVなど需要家リソースを活用したレジリエンス対策が必要とされている。本研究では、EVを避難所の非常用電源、PVと連携した蓄電池設備として活用するだけでなく、2次避難として避難所間での避難者の輸送手段としても利用する、統合的なレジリエンス最適化EMSを提案する。本研究は前報告の続報とし、大規模避難所への避難者輸送による負荷集約などを数値例で評価し、有効性を示す。
D5-5 運輸事業者の配送用EV車両の最適充電/運行計画モデルの構築 −配送用トラックの実走行データに基づくEV代替性の検討−
○山田 智之,東谷 拓弥,高橋 雅仁(電力中央研究所)
配送事業を営む需要家が EVトラックを導入しつつも、車両走行に支障をきたさない時間帯にEV充電を行うエネルギーマネジメントを想定する。本稿では、ある配送事業所のトラックの実走行データを用いて、それらをEVトラックに代替した場合に、普通充電器および、急速充電器、バッテリー交換システム、経路充電のいずれかの充電方法を採用した場合に、配送需要を満たせるかどうかを検討し、その際の電力コストを比較する。
16:00~17:30 セッションA6 マテリアル 会場:A(An301・302)
A6-1 重要鉱物の需要・価格変化が自動車技術選択と脱炭素シナリオに与える影響
○小松原 充夫,西 智樹,原 昌司(豊田中央研究所)
電気自動車(EV)の普及に伴う重要鉱物の需要増加は、重要鉱物価格の上昇を招き、さらなるEV普及を抑制する可能性がある。本研究では、重要鉱物の需要と価格の相互作用を考慮した技術選択モデルを構築し、自動車(乗用車・トラック・バス)の技術選択への影響を分析した。さらに、リサイクルや電池正極材の変更などの需要低減策の効果と、技術選択の変化が社会全体のCO2排出量に与える影響を評価した。
A6-2 資源循環は対外依存を解消するか−ネオジム磁石の二次資源ネットワークとチョークポイント
○張 睿(日本エネルギー経済研究所)
重要鉱物の資源循環は対外依存を低減する手段とされてきた。EUのクリティカリティ評価ではEoL-RIRが供給リスクの低減要因として用いられる一方、ネオジム磁石の二次供給は工程スクラップを中心に生産地へ集中することが確認された。EoL資源は今後消費地で増えるが、分離・精製および磁石製造能力の集中は残る。以上から、循環量の増加のみでは対外依存は解消されず、依存の所在は二次資源処理ノードへ移行し得る。
A6-3 GCAMを用いた日本鉄鋼部門の脱炭素化経路分析:DRIの国際貿易を考慮した技術選択
○後藤 恵陸,西田 裕子,高瀬 香絵,長谷 しほり,木村 誠一郎(自然エネルギー財団)
統合評価モデルGCAMを用い、日本鉄鋼部門の2050年脱炭素化経路を分析する。BF-BOF、スクラップEAF、DRI-EAF、水素還元、CCS等の技術選択に加え、DRIを独立した国際取引財として表現し、技術構成、エネルギー需要、CO2排出、輸入依存度の変化を複数シナリオで比較する。
A6-4 2020年産業連関表とそれに対応した3EIDを使った主要鉄鋼製品の環境負荷物質排出原単位の推計 −2005年,2011年,2015年との時系列推移比較を含めて−
○村橋 喜満(かずさ環境研究所)
2020年産業連関表(産連表)は2024年6月25日、それに対応した3EID(産連表による環境負荷原単位データベース)が2025年6月30日に公開された。この二種類のデータベースを使って主要鉄鋼製品の環境負荷物質排出原単位を推計するとともに、2005 年、2011 年、2015 年との比較を行うことで年次をこえ た原単位の時系列推移を明らかにする。
16:00~17:10 セッションB6 CO2吸収 会場:B(An401・402)
B6-1 陸域生態系によるCO2吸収に関する科学的知見の現状と吸収源の評価
○加藤 悦史(エネルギー総合工学研究所)
陸域生態系は人為起源CO2排出の主要な吸収源である。本発表では、陸域生態系モデルによる陸域CO2吸収量の推定とその補正など、近年の科学的知見を概説する。さらに、吸収源評価における土地利用の定義・取り扱いに着目し、その考え方と課題について整理する。
B6-2 風化促進システムへの再生可能エネルギー活用の検討
○酒井 慎,秋元 祐太朗,岡島 敬一(筑波大学),Rendi Rustandi,北川 直美,森本 慎一郎(産業技術総合研究所)
岩石散布によりCO2固定を図る風化促進では、輸送や粉砕を含むプロセス全体でのCO2排出量が、CO2固定量を上回る可能性がある。本研究では、散布地との距離が近く、再エネポテンシャルが高い東北地方および九州地方に位置する採掘場を対象として、粉砕工程へのオンサイト再エネ電源や蓄電池の導入を検討し、再エネ電力の活用による風化促進プロセス全体のCO2排出を評価した。
B6-3 CO2回収装置の設置地点・規模の最適化手法の構築
○木村 知義,田中 光太郎(茨城大学)
近年、地球温暖化対策の一つとして、湿度スイング式直接空気回収(MSA-DAC)は大気から二酸化炭素(CO2)を直接回収する方法として注目されている。MSA-DACの特徴はCO2回収量や回収速度が気温や湿度、CO2濃度に依存することである。そのため、運用コストは地域によって異なる。したがって、気象条件を考慮可能なDACのシミュレーションを開発し、費用対効果に基づき設置地点の最適化を行った。
16:00~17:10 セッションC6 機械学習 会場:C(As311・312)
C6-1 機械学習と局所線形回帰による電力市場関連価格の予測誤差の説明
○松本 碧,前 匡鴻,松橋 隆治(東京大学)
本研究では、九州エリアのスポット価格やインバランス料金単価を機械学習で予測し、その予測誤差を入力変数の予報誤差から説明する。各価格について、予測時点で想定される入力シナリオによる予測値の変化と、市場状態に応じた予測残差の局所線形回帰による分解を検討する。予測精度と説明寄与の統計的な安定性も検証し、複雑な予測モデルの予測過程の解釈性を高め、事業者の意思決定やリスク管理に役立つ情報の提示を目指す。
C6-2 ニューラルネットワークを用いた短期ガス需要予測に関する体系的レビュー
○浦崎 貫一郎,鈴木 研悟(筑波大学)
本稿では、ニューラルネットワークを用いた短期ガス需要予測に関する既往研究32件を対象に、時刻毎予測の研究動向、学習データ長、説明変数の利用状況と予測への寄与を整理した。その結果、需要要因を踏まえた説明変数の設計や、説明変数の予測精度への寄与を定量評価する研究は限られており、需要変動をより直接的に表現する説明変数の設計と、寄与度分析による変数評価の重要性を示した。
C6-3 家庭用LPガス日次需要予測における最適な集計粒度と外生変数の検討
○耳浦 紬,神野 拓哉,堀田 裕弘(富山大学)
This study investigated which level of aggregation is more effective for modeling daily residential liquefied petroleum gas (LPG) consumption forecasts. Using daily consumption data from approximately 8,600 households, we combined five aggregation levels (prefecture-wide, municipality, appliance-ownership segment, segment × municipality, and individual household) with sets of exogenous variables, and compared 1-, 7-, and 14-day-ahead XGBoost forecasts thorough a one-year rolling-origin evaluation. Aggregation levels incorporating segment information achieved a significantly lower weighted mean absolute percentage error (WMAPE) than geography-only levels, whereas further disaggregation yielded no significant improvement in accuracy.
16:00~17:10 セッションD6 セクターカップリング 会場:D(As313・314)
D6-1 Hydrogen in a Low-Carbon Energy System:A Sector-Coupled Analysis of Tohoku, Japan
○TUO ZHANG,小端 拓郎(東北大学)
This study examines the role of hydrogen in a low-carbon energy system for Tohoku, Japan, in 2050. A spatially resolved, sector-coupled PyPSA model jointly optimizes energy supply, conversion, storage, and electricity transmission to meet demands for electricity, heat, transport, and fuels. We assess hydrogen production, imports, end uses, and exports under alternative technology and external energy market assumptions. Scenario comparisons examine changes in renewable deployment, hydrogen infrastructure, and system costs. The analysis explores the conditions under which hydrogen contributes to regional decarbonization and how its role interacts with electrification and energy trade.
D6-2 化学品原料の脱化石化が日本の電力システムに与える影響の分析
○久田 幸輝,白木 裕斗(名古屋大学)
化学品の脱炭素化には、原料の脱化石化が不可欠である。電解水素と回収CO2を原料とする製造プロセスは大量の電力を要する一方で、水電解装置やDACを通じて系統に柔軟性を提供しうる。既往研究の多くは電力を一定の排出原単位で与える等、系統側の応答を十分に扱っていない。本研究では、化学品原料の製造を扱えるように拡張した日本の10地域・8760時間の電力システムモデルで、これら両面の影響を分析する。
D6-3 2050年カーボンニュートラルに向けたエネルギーキャリアの動学的モデル分析
○高田 和希,秋澤 淳,池上 貴志(東京農工大学)
2050年カーボンニュートラル(CN)達成に向け、最適なエネルギーキャリアと移行経路の解明が急務である。本研究では関東圏を対象に、既存ガス網の活用と水素導管新設の競合、地域間輸送を考慮した動学的線形計画モデルを構築した。家庭・業務・産業・運輸部門の電化や燃料転換を捉え、時間・空間・インフラ制約下でCNを実現する最適な技術選択と投資タイミングを定量的に評価した結果を報告する。
