当学会について

会長からのメッセージ

  • 会長手塚哲央
    会長 手 塚 哲 央
  • 挑戦の時代におけるエネルギー・資源学会

    On the Role of JSER in the Era of Challenge

    この度、6月10日に開催されましたエネルギー・資源学会第42期定時社員総会で第13代の会長を拝命いたしました。本会に少しでもお役に立てますように微力ではございますが力を尽くしたいと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます。

    本会は、技術・社会・環境への広がりを持つエネルギー問題及び資源問題の検討を目的として、第2次石油危機直後の1980年にエネルギー・資源研究会として発足、1990年に学会に改称し、現在に至っています。会誌「エネルギー・資源」では

    本会は、技術・社会・環境への広がりを持つエネルギー問題及び資源問題の検討を目的として、第2次石油危機直後の1980年にエネルギー・資源研究会として発足、1990年に学会に改称し、現在に至っています。会誌「エネルギー・資源」では40年余りに亘り、エネルギー問題、資源問題について論じられてきました。中でも、エネルギー・非エネルギー資源に関するシリーズ特集「明日を支える資源」は1984年7月号に連載が始まり、今もなおその連載が継続されています。すなわち、会誌からはエネルギー・資源に関わる様々な最新の情報が得られるだけではなく、会誌のバックナンバーを会員専用のWEBページで紐解くことにより、石油危機以降のエネルギー・資源問題の変遷の歴史に触れることもできます。

40年余りに亘り、エネルギー問題、資源問題について論じられてきました。中でも、エネルギー・非エネルギー資源に関するシリーズ特集「明日を支える資源」は1984年7月号に連載が始まり、今もなおその連載が継続されています。すなわち、会誌からはエネルギー・資源に関わる様々な最新の情報が得られるだけではなく、会誌のバックナンバーを会員専用のWEBページで紐解くことにより、石油危機以降のエネルギー・資源問題の変遷の歴史に触れることもできます。

さて、今の社会におけるエネルギー・資源・環境の問題は、気候変動、高齢化、経済の不活性化、原子力、資源循環などの問題が複雑に絡み合った上に、突如発生した新型コロナウイルスの深刻な問題が覆いかぶさっています。このウイルス対策では人と人との接触を減らすことが求められたため、人々の生活様式を突然大きく変えることとなりました。もちろん、この感染状況は近く緩和に向かうものと期待されますが、コロナ後の社会の状況を予測することは非常に困難です。

一方で、情報通信技術、再生可能エネルギー、電気自動車等の急速な技術変化、電力システム改革、循環型社会形成、2050年カーボンニュートラル等の社会制度の変化、そして環境や貧困等に関わる持続可能な開発目標(SDGs)に向けた国際社会の意識変化などと、我々を取り巻く技術や社会制度、そして人々の考え方も急速に変わりつつあります。その是非の議論は勿論必要ですが、将来に好ましい変化の可能性のあることは素晴らしいことであり、将来社会のデザインを様々な分野で積極的に試みることが望まれます。そしてその議論の場、アイデア創成の場こそが、学会が会員に提供できる価値ではないかと思われます。「自由な討論の場」を目指すことは1980年のエネルギー・資源誌創刊号の冒頭にも記載されています。

では、現在の学会活動の活動状況を少しご紹介しましょう。

まず、会誌「エネルギー・資源」と論文誌が年に6回、隔月で発行されています。ご承知のように会誌では毎号、特集のテーマを決めて、その分野の第一線で活躍しておられる方々に執筆頂いています。これには、エネルギー・資源に関わる最新の情報を紹介する目的の他に、前述したようにエネルギー・資源研究の記録を後世に残す意味もあると思っています。一方、論文誌には日本語だけではなく英語論文も投稿でき、査読を経て掲載可となった論文は科学技術振興機構(JST)の電子ジャーナルJ-STAGEで公開され、ネット上で無料で検索・閲覧ができます。即ち、掲載された英語論文は海外の非会員の研究者でも自由に読むことができ、本会の国際化に一役買っています。また、年2回開催される研究発表会でも日本語と英語での発表が可能で、日本在住の外国人留学生の発表の場としても活用されています。日本語と英語が混在した研究発表の場は、まだ珍しいのではないでしょうか。技術と社会の双方の分野の専門家が集う本会の特徴を活かした行事としては、エネルギー政策懇話会が年6回、開催されています。この政策懇話会では質疑にも十分な時間が用意されており、技術と政策に関する情報収集に大変有効な場となっています。また、エネルギー・資源分野の初学者の勉強の支援を目的として参加型のワークショップや講習会も開催されています。この他に、調査研究プロジェクト(エネルギーの脱炭素化に関する調査研究)、研究委員会(「2050年に向けた日本のエネルギー需給」研究委員会、「家庭部門のCO2 排出実態統計調査」利用研究会)では時宜を得たテーマを設けて多くの会員が活発に活動しています。このように、様々な「場」における多彩な会員との自由な交流を通して最新の技術や政策の情報に触れ、また自分の研究結果に関する意見を聞けることは、本会会員にとっての大きな特典と思われます。

ここまで本会の現状について説明してきましたが、学会のもう一つの価値は過去の伝統を重視しつつも新しい情報やアイデアを積極的に取り入れて常に変化し続けるところにあると思います。そしてその変化のためには会員の皆様の学会活動への積極的なご参加が不可欠であり、学会はその皆様の新しい取り組みの後押しをする存在であるべきでしょう。本会が会員にとって有益な交流の場として更に発展できますように、皆様からのご協力、ご支援を心よりお願い申し上げます。