1.活動の目的
2016年に発効したパリ協定、再生可能エネルギーの費用の低下などを背景に格好の再生可能エネルギー導入の流れは確かなものとなり、2050年などで再生可能エネルギー100%などの内容を含めた低炭素化の検討が加速している。しかし、エネルギーの供給費用や安定供給を考えると、再生可能エネルギーの導入ばかりではなく、全般的な省エネルギー、民生や産業の冷温熱供給や運輸の電化、低炭素化、そして大量導入が想定される出力が変動するPV、風力の導入を可能とするための電力需給の柔軟性の確保、更には週間、月間、年間などの将来徐々に必要性を増す新たなエネルギー貯蔵などを、技術ばかりではなく、市場などの制度整備、そしてそれを支える持続的取り組みを支える政策維持など、包括的に進める必要がある。
パリ協定ではすべての国に温室効果ガス低減のための長期発展戦略の策定を努力すべきことが定められており、COP21の決定ではその時期は2020年とされている。我が国でも、エネルギー基本計画、環境基本計画などと併せて、長期発展戦略の議論がこれから進められると考えられる。
エネルギー・資源学会では、2017年の研究発表会、2018年のコンファレンス、研究発表会では、2050年に関して、従来からの個別の研究発表に加え、4つの企画セッションを実施するなど、検討を底上げしてきた。本委員会では、我が国の温室効果ガス低減のための長期発展戦略の策定のための情報整理と議論に
併せて、長期的なエネルギー需給の道筋に関する調査・検討を行い、その成果を学会会員、学会外の一般に対し提供する。
2.研究委員会構成と運営方針
過去4回の2050年に関する企画セッションの参加者、そのほか、本件に関心を持つ学会会員でメンバーを募集し、研究委員会を構成する。また、必要に応じて、オブザーバー(会員外)の参加を要請する。
なお、当面は交通費、会合、資料実費などは参加者で自弁し、学会予算は使用しない。
活動は、2018年9月から2019年3月までを第一期、2019年4月から2021年3月までを第二期として、情報共有、意見交換のための研究会開催と、2050年に関わる内外の検討や報告書の紹介、シンポジウムの開催などを通して定期的なコンファレンスを含めたエネルギー資源学会内外での議論の促進を目指す。
○研究委員会「2050年に向けた日本のエネルギー需給」
委員長:荻本 和彦(東京大学)
幹 事:下田 吉之(大阪大学)、黒沢 厚志(エネルギー総合工学研究所)
研究プロジェクト・研究委員会
委員会活動報告
研究委員会「2050年に向けた日本のエネルギー需給」メンバー募集